生産者: 渡邊バークシャー牧場グループ(生活村へは主に種が島グループ)

屠畜処理は宮崎県都城市の(株)ジャパンミート、半頭分のカットとパック詰め・冷凍処理は神奈川県川崎市の(株)稲穂

 

飼養期間: 約9か月(大型の一般豚に比べて3か月ほど肥育期間が長い)

飼料: パン酵母で発効させたパン屑・さつま芋の甘藷サイレージ・甘藷蔓・米ぬかを培地に培養した微生物の酵母を基本に麦類・発酵大豆粕・魚かす・アルファルファミールを混ぜたものと市販の配合飼料を材料として、日本飼養標準に準じて栄養価を調整設定する

母豚は日ごろから粗飼料を多く与えて胃や腸を鍛え、授乳期の大切な時期に十分に採食可能な母豚作りが必要。授乳期の母豚には授乳期専用の市販の高エネルギー飼料にアミノ酸、ミネラル、ビタミンのプレミックス、泌乳促進のオリゴ糖を添加した餌を与える。

子豚:    新生期は初乳(免疫力強化)、生後1日以降に鉄剤投与(生理的貧血のため)30日齢までの哺育期は母乳が十分であれば母乳だけを与える。

霧島山麓の鹿児島渡邊バークシャー牧場で種豚生産。本物の鹿児島黒豚を追い続け、2007年現在約60頭の母豚がいる。グループの生産牧場28農家(鹿児島10軒、種子島4軒、熊本10軒、宮崎4軒)が飼料と飼い方の規格を守り生産。地域ごとにグループで勉強会をしたり、PRRS(豚繁殖・呼吸障害症候群)などの抗体検査も行い、疾病の状態など情報開示やトレースも可能。

 

以上

「高品質鼻ぺしゃ黒豚飼育マニュアル鹿児島渡邊バークシャー牧場」2014年より引用

 

「生活村のあゆみ」によると生活村は本物の豚肉を求めて1975年以来この渡部近男さんの鹿児島黒豚に取り組み、19821月に高畠の豚に変えた。そして1991年に高畠の豚を止めて翌19926月から再び渡邊さんの豚に戻って現在に至っている。20128月からは、それまでずっと会員の手で行って来た豚肉のカットを稲穂さんにお願いするという大きな変化も経た。この時も半頭単位で買い取るという提携の基本を崩さないという判断を会員で確認している。その「1頭買い」や「半頭買い」を現在行っている消費者グループも稲穂さんによると所沢生活村以外に千葉に一つあるだけだそう。

近代養豚が薬漬けにもかかわらず豚の病気が多発し消費者から安全性に疑問が広がっていた1970年代始めNHKの番組は餌に問題があるのでは、と「ムレ肉(PSE筋肉)」問題を取り上げ近代養豚がムレ肉を構造的に生み出している背景を示し「黒豚復活」という番組で永田文吉先生が追求してきた「風土の黒豚」が、農家の手でさつま芋や鰹のあらで飼われている姿が放映された。それを見て「土を生かし、石油タンパクを拒否する会」の中核を担おうとしていた白根さんが塩の会の佐伯吉野さんとともに黒豚の産直を高松修さんに相談し、3人で鹿児島の産地の農家を訪ね、渡邊近男さんと黒豚の共同購入の話をまとめ、実現したのが黒豚の提携だったようです。生産者と消費者のお互いの理解と信頼を深め随分と苦労されたのが塩の会の佐伯吉野さんだったのではないかと推察されます。

しかし経緯はともあれ、本来の「風土の産物」にするための餌と飼い方を守る「黒豚の提携」が、永田先生、渡邊近男さんの志を受け継ぎ展開できるなら、それこそが所沢生活村の目指す目標となることでしょう。価格競争ではなく「品質と信頼関係」が問われるのです。生産地の情報が消費者に正確に届き、相互の信頼関係が確立し、再生産が可能な価格が設定されること。つくり手の志が消費者に届き、消費者の思いが生産者に通う関係を作り上げることが大切だという高松修さんの言葉を改めて心に刻みたいと思います。

前半に引用した渡邊近男・野田忠義共著の黒豚飼育マニュアルにも詳しく知りたい部分や改善すべき問題点等たくさんあると思っています。会員の皆様、どうぞご一緒にこの豚肉を食しながら運動にご参加ください。